損害保険労働組合連合会 「めざす働き方」を実現しよう



保険会社:STORY 1

所属 営業 職種 地域型
年齢 28 性別 女性
障壁となる環境変化

労働力人口の減少 外国人労働者の増加

保険会社の収益構造モデルの変化 代理店の品質向上

追い風となる環境変化

女性の就業率の向上と社会への進出 女性の社会進出を後押しする政府の環境作り

男性エリア職の採用(柔軟な働き方を可能にする社会環境作り) IT技術の進歩

POINT

本文中の下線部を参考に、
①~③のポイントを読み取りましょう。

PTメンバーが考えた10年後の環境変化
将来の環境変化を克服・活用して「めざす働き方」を実現するための行動
将来、②を実現するために(今から)しておくべき行動

「ギリギリセーフ!」

息を切らせて駅の階段を下りながら、いつもの電車がホームに滑り込んでくるのを確認して、私は心のなかでガッツポーズをとっていた。

産前、産後休暇、育児休暇で約4年のブランクを経て、1年ほど前に復職してからは、長女が保育園に行くのを嫌がってぐずるため、駅まで全力で自転車をこぐ毎日が続いている。

 

私は会社に着くと早速PCを立ち上げ、電子申請一覧の「乗合代理店への経営改善提案の動画コンテンツ」が承認されたことを確認した。昨日の夕方、課長に確認依頼をあげていたものだ。タブレット端末にコンテンツをダウンロードし、10時前には事務所を飛び出した。

 

事務職として入社して以降、私は、営業店で事務を行いながら、代理店からの書類の不備や、簡単な問い合わせへの対応に忙殺されてきた。書類の不備や日々の問い合わせをなくすためには、どうしたらよいか自問自答していたが、それ以上に代理店ですべての業務を完結できるようになったとき、私のような事務職はどのような業務を担っていくのかという疑問を漠然と抱いていた。

私に転機が訪れたのは入社8年目のある日のことだった。ほぼすべての種目がタブレット端末での契約・計上の対象になるとの社内通達が目にとまった。将来はシステム化が進み、完全ペーパーレス化され、不備が発生しないシステムなどにより環境の変化が起こり、営業店の事務や問い合わせ対応といった業務はいずれ激減していくと私は直感した。その日から私は、自らの仕事領域を広げていくことに積極的に挑戦することを決めた。代理店の契約更新管理からはじまり、更新時の補償追加、新規契約成約にむけた戦略の策定、代理店経営へのアドバイスと、課長とも相談して仕事を徐々に事務から営業にシフトしていった。

 

時は経ち、同じ営業店に復職した私の業務内容は大きく変化した。私が担当しているのは、県内の大型代理店が20店舗ほど統合しできた代理店だ。保険契約の締結は電子書面・電子サインにより行われるようになり、端末での契約手続きが完了すると、即時に保険会社の事務センターと通信が行われ、翌日には証券が送付される仕組みとなっていた。現在では、募集関連業務はすべて大規模な総括代理店内で完結するようになり、その結果、営業店で担う事務関連業務は縮小し、要員規模も小さくなっている。数年前から営業店における事務業務の縮小を予見し、新たな働き方に挑戦してきた私にとって、営業店での業務が代理店営業主体になることは想定内であり、さほど混乱することなく現在の業務を行っている。

 

県内に総括代理店は8店、私が勤務する市内には3店あり、そのうち2店は郊外にある広い駐車場を完備した店だ。もう1店が、私が担当する統括代理店であり、事務所は市内中心部の駅から歩いて数分のところにある来店型店舗になっている。来店客用窓口が10ブースあるが、10時に訪問するとすでに半分が埋まっていた。

「おはよう、〇〇さん。社長は2階で待ってるよ」

 

来店顧客対応を仕切っている営業部長に促され、私は社長室を訪ねた。

代理店担当としての私の仕事は多岐にわたる。社長からは人材育成、労務管理、目標設定、処遇検討など代理店経営に関する相談を受けている。一方で、営業担当者に対しては、中小企業への保険提案や、職域募集などの開拓などといった保険に関するアドバイスのほか、 育児休暇中に取得したファイナンシャルプランナーの資格を有効活用して、お客さまの資産形成など保険以外の商品に関する幅広いアドバイスが行えるようになった。

 

時代とともに企業は持続的に成長し、それに合わせて私たちの働き方も変化する。好むと好まざるとに拘わらず、変化しなければ、時代についていけない。今、私はさらに挑戦している。より高度化する代理店経営へのアドバイスに磨きをかけるため、法律や税務の周辺知識を勉強している。そんな私を、夫も在宅勤務で育児参加し、アシストしてくれている。いつの日か、直資代理店の社長も任されてみたい。そんな夢に向かって今日も日々奮闘中である。

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