損害保険労働組合連合会 「めざす働き方」を実現しよう



保険会社:STORY 2

所属 損害 職種 全域型
年齢 27 性別 男性
障壁となる環境変化

拠点の縮小・要員配置の見直しにともなう組織の要員構成の変化

自動運転自動車(衝突被害軽減ブレーキ装置)の普及 外国人労働者の増加

追い風となる環境変化

社会と保険会社の連携強化に向けた動き

保険業界内・他業界でのIT技術の活用(タブレット端末の活用) 高齢者増加

POINT

本文中の下線部を参考に、
①~③のポイントを読み取りましょう。

PTメンバーが考えた10年後の環境変化
将来の環境変化を克服・活用して「めざす働き方」を実現するための行動
将来、②を実現するために(今から)しておくべき行動

自動ブレーキ技術の発達により追突事故が減ったことなどから、11年前と比較して、自動車事故は減少してきた。一方で、事故原因や責任関係の複雑化などの影響で事案対応に要する時間は増加している。

会社内に目を移せばベテラン社員や女性管理職の増加など、職場メンバーの社員区分・社歴・職歴・年齢層の構成も変化した。また、男女ともに健康や家族などを意識して、限られた時間で働く風土もようやく定着したところだ。

ただ最重要課題は大きく変わっていない。職場の仲間全員のベクトルを一致させ、限られた時間で、全社員一人ひとりが高い品質と付加価値を提供する組織の実現である。

私は組織長代理として自らの経験や日ごろ収集している情報などを生かし、メンバーへのアドバイス、職場全体のチームワーク向上、良好な雰囲気づくりなどに努めている。11年前から「高年齢者の増加」「育児と仕事の両立」「転職を含めたキャリア形成の多様化」に備えて、労働組合や会社主催のセミナー、オンラインスクールなどに参加して身に着けた、マネジメント、コミュニケーション、コーチング、タイムマネジメントのスキル・ノウハウが現在の取り組みの原動力となっている。

 

そのような環境下でも、業務品質と生産性の向上を実現するため、私の職場ではタブレット端末を全員が活用するツールと位置づけて取り組んだ。今では、事故状況・保険金の算定内容のビジュアル化、事故状況と判例とのマッチングなど大きく拡充された機能をお客さま対応や、職場運営などで職場のメンバー全員が活用しており、組織的に定着が図れている。

職場には定年後再雇用社員をはじめ55歳以上のベテラン社員が5名いる。タブレット端末を全員が組織的に活用するためには、特にお客さまとの面談機会の多いベテラン社員への浸透が重要と考え、前もって情報を提供し丁寧にサポートをしてきた。その結果、持ち前の交渉力に加え、タブレット端末を活用した的確・丁寧な説明により、スムーズに示談ができるケースが目に見えて増えており、新しい技術と経験・ノウハウ双方の活用による相乗効果を実感している。

今日は若手全域型社員Aくんとともにベテラン社員Bさんと昼食に行った。

「Bさん、僕たちにも交渉術、伝授してくださいよ!」「Aくん、最近の流行はなんだ?」

こういった会話を聞くと、あらためて若手への経験の伝達の重要性とともに、世代を超えてしっかりとコミュニケーションをとることも大切であることを実感する。

 

昼食から戻ると、入社3年目の地域型社員Cさんが駆け寄ってきた。

「そろそろ行きましょう!」

午後はCさんが担当するフィリピン人のお客さまとの事案交渉に同席する。外国人労働者の増加にともない、外国人当事者の事案も大きく増え、国内勤務者にとっても、もはや語学の習得は必須となった。

「やっぱり英語の勉強は必要ですねぇ」

面談に向かう車の助手席でいつもの調子で話しかけてくるCさんの声を聞きながら、11年前、海外駐在員をめざして通勤時間に英語の勉強をはじめた頃を思い出した。海外駐在員の夢はまだ叶っていないが、国内勤務においても培ってきたスキルは十分に活かせており、サービスセンターメンバーの外国人当事者事案の対応を通じて、職場メンバーの仕事や外国人のお客さまの日本滞在(生活)の手助けにつながる今の仕事には大きなやりがいを感じている。今も毎日1時間の通勤時間のうち地下鉄に乗る15分は英字新聞や海外の業界誌に目を通す。これからも続けようとあらためて心に誓った。

 

面談を終え、いったん事務所に戻りCさんを下ろし、郊外の病院に向けて車を発進させた。

損保協会や損保労連を中心に業界一体となって、社会・業界全体の利益につながる取り組みを実施してきた。そのひとつである「診療報酬明細書の保険会社への電子的提供」がようやく実現し、導入されはじめているのだ。初訪の今回は事務長への説明だ。

「こんにちは!事務長に17時にお約束いただいています、〇〇社の〇〇です」

10年前から4年間在籍した営業部で磨いた提案・プレゼン力や、損保各社で共有している病院へのアプローチのノウハウ・スキルをいかし、先方のニーズをとらえながら、当社のサービスが院内の業務効率化や社会インフラとしての利便性向上につながることを説明し、好感触をつかむことができた。

営業部門への異動は予想外だった。移った当初は営業目標の重圧と知識・ノウハウ不足により大きな不安を抱えるなか、「とにかくできることをやる」という気持ちで、自ら調べ・考え・行動していた。今もこの経験を忘れずに日々を過ごしている。

 

これから自宅で事案の保険金支払手続きをして、子どものアイスホッケーの応援に行く。ようやく、こんな働き方も当たり前にできるようになってきた。

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