保険会社:STORY 3

所属 | 損害 | 職種 | パート |
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年齢 | 40 | 性別 | 女性 |
障壁となる環境変化 |
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○職場の一体感が保ちづらくなる ○シニア層の活躍フィールドの広がりや外国人労働者の増加による労働者間の競争激化→処遇水準の低迷 ○会社への帰属意識の希薄化 |
追い風となる環境変化 |
○有期契約労働者の無期化の進展 ○優秀層の労働条件の引き上げ(正社員との均等待遇) |
POINT
本文中の下線部を参考に、
①~③のポイントを読み取りましょう。




「○○チーム長、先日ご相談した事案の件で報告したいことがあるので、後ほどお時間を取っていただけないでしょうか」「○○チーム長、来月10日の面接試験なんだけど、時間帯が決まったからWEBスケジュールシステムに入れておいたよ。よろしくね」――朝礼から退社まで、誰かの相談にのったりお願いごとをされたりと、私の一日は常に職場のメンバーと共にある。一人で完結する業務はほとんどない。前職を退職後、20代後半に契約社員としてこの会社に中途入社して以来、ずっとこの職場で働いてきた。かつては総務事務や定型業務を中心に担っていたが、事案担当者の補助業務を経て、少しずつ事案を担当するようになり、今では損害サービスのスペシャリストとして、事案担当者にとどまらず、チーム長としてメンバーの事案点検や管理業務、業務経験の浅い社員の指導・育成、欠員時の社員採用まで幅広く関わっている。どの業務も以前であれば正社員、特に全国転勤型の男性社員が担っていたものだ。

法改正のおかげで一年ごとの雇用更新ではなくなったときから、会社に長く勤めることを前提に前向きに担当領域を広げ、業務に役立ちそうなことは何でも吸収し、実務担当者としてのレベルアップを図ってきた。加えて、コーチングやマネジメントなど、人材育成や組織運営に関わることも勉強してきた。コーチングやマネジメントなどの勉強をするようになったきっかけは、7年前にこの地域を襲った大規模な災害だった。本社や近隣地域からのサポートを受け、お客さま対応はなんとか全うすることができたが、その後、職場が徐々に落ち着きを取り戻した頃に入社間もない社員の退職が相次いだ。混乱のなかで経験の浅い後輩社員を業務面・心理面でサポートすることができなかったことが原因だと反省した。そして、もっと職場の運営そのものにも関わっていかなくてはならない・関わっていきたい、との思いを強くし、コーチングなどの通信研修やセミナーを受けるようになったのだ。メンバーとの関わり方を変えたことによって、社員の退職も減ったのに加えて、中途入社者や他部門からの異動者の受け入れ・育成もスムーズになった。こうした努力が認められ、一昨年からは契約社員ながら課運営の中心的役割を任されるようになった。

ひっきりなしに交錯する電話越しの会話。業務時間中の損害サービスセンターの活気は相変わらずだが、そこで交わされる言語は多様化しつつある。
「劉さん、中国のお客さま!保留の1番でお願いします!」
この地域でも外国人労働者が増えており、とりわけ中国人のお客さまからの問い合わせは、今や日常茶飯事だ。以前は日本語が不自由な外国人のお客さまへの対応はもっぱら私の担当だったが、近年では海外の大学を卒業して入社する外国人社員が損害サービスの現場に配属されるケースも増え、彼らの出番が多い。活躍めざましい彼らだが、職場では価値観・文化の違いや言葉のニュアンスの問題で行き違いが起こることがある。そうした問題の解消に向け、私は、職場内で異文化との接し方やコミュニケーションに関する研修を行うなど工夫してきた。特に「日本と中国との文化・生活習慣の違い」をテーマに、日本滞在歴の長い中国人のお客さまを講師に招いて実施したシリーズものの研修は、仕事に応用できる実践的な内容が学べるとあって非常に好評で、人事異動でメンバーの顔ぶれが変わる時期に今でも継続して実施している。
彼ら外国人社員を単なる「海外顧客担当専任者」という小さな枠にとどめず、貴重な戦力として育成するのも私の役割だ。ありがたいことに、この職場の定年後再雇用社員は人材育成に積極的である。長い会社生活のなかで培ってきた知恵・経験を活用し、業務に直接・間接に関わるあらゆることを外国人社員の育成に役立ててもらいたいと思い、事案の担当に加え、職場運営のアドバイザーとしても活躍してもらっている。