損害保険労働組合連合会 「めざす働き方」を実現しよう



保険会社:STORY 5

所属 営業 職種 全域型
年齢 35 性別 男性
障壁となる環境変化

国内マーケットの縮小傾向にともなう会社の合理化により、新しい業務領域への対応を求められる従業員の増加

高付加価値型チャネルと定型・簡素型チャネルの二極化

(社内・社外での)外国人とのコミュニケーション機会の増加

追い風となる環境変化

国内外で活躍できるフィールドが広がる

グループ各社(海外含む)での評価基準の統一化

POINT

本文中の下線部を参考に、
①~③のポイントを読み取りましょう。

PTメンバーが考えた10年後の環境変化
将来の環境変化を克服・活用して「めざす働き方」を実現するための行動
将来、②を実現するために(今から)しておくべき行動

「『将来勝ち残る代理店』をテーマに専業代理店の社長と論議していた頃が懐かしいな」

今日13時から予定しているワークショップで講師を務める5年目社員のAさんとの打ち合わせのため、今朝は少し早めに出社した。

 

国内損保マーケットは縮小傾向にあり、保険会社が合理化をすすめるなか、販売チャネルは高付加価値型と定型・簡素型に二極化しており、私が所属する営業課では、主に高付加価値型代理店を担当している。今日のワークショップは、所属の代理店を対象とする「競合する他の販売チャネルとの差別化」をテーマとした全3回シリーズの最終回だが、これまでのところ経営戦略のヒントになると代理店からも概ね好評である。

専門性の高い販売チャネルの育成・開発に向け、担当者時代から社外セミナーに積極的に参加するなどしてマーケティングの理論習得に努めてきたのはもちろんのこと、異業種で働く方々との交流を通じて、さまざまな業種における課題やその対策などに触れるよう努め、営業活動で実践を積んできた。また、身につけたノウハウを課のメンバーにも繰り返し伝えてきたことが、こうした課全体での代理店の育成取り組みにつながっていると感じる。

 

「すみません、遅くなりました!」

私から遅れること5分、Aさんがフロアに滑り込んできた。今日のワークショップにはもうひとつ重要なミッションがある。それは、本社部門から営業部門に3ヵ月前に異動してきたばかりのAさんの育成だ国内マーケットの縮小による事業ポートフォリオの変化にともない、保険会社では機構改革や要員配置の見直しがすすんでおり、Aさんのような部門横断での人事異動が増えてきている。各職場には、こうした人材が環境変化に対応し早急に能力を発揮することが求められている

 

人材育成のベースとしては円滑なコミュニケーションと良好な人間関係の構築が欠かせない。育成対象者を取り巻く環境が激変した場合はなおさらだ。私は、担当者時代からコーチングにおけるコミュニケーションスキルを身につけるべく、通信研修の受講などによってよるににてきにの知識を深め、職場における細やかな声がけ・目配りを通じて、互いが忌憚のない意見を言いあえる職場風土の醸成に向けた実践を繰り返し行ってきた。こうして培った、組織内でのコミュニケーション向上に関するスキルは、管理職となった今でも、毎週1回実施している課内ミーティングの運営に生きている。最近では私が促さなくても、課のメンバーが自発的にアイデア出しを行うようになっており、また、メンバー同士のコミュニケーションを深める場としても機能している。このようなメンバー全員により生み出される前向きな課内の雰囲気が、新たな業務領域に挑戦する個人の意欲や、組織力の最大化につながっていると感じる。

 

「課長、ここまでどうですか?」

配属当初は「営業経験がないので・・・」と自信のない様子であったAさんも、今日の研修に向けた課内ミーティングでの論議で自分の意見が採用されたこともあり、「皆さんの期待に応えられるよう頑張ります!」とやる気をみなぎらせている。

・・・

「以上ですがよろしいですか?」

3ヵ月で見違えるほどに成長した部下の姿に目を細めながら、私は彼のペーパーの赤入れを始めた。

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