保険会社:STORY 6

所属 | 本社 | 職種 | 全域型 |
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年齢 | 50 | 性別 | 男性 |
障壁となる環境変化 |
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○新しいシステムへの対応 ○知識・スキルが十分でない従業員の増加 ○管理職から担当職への転換(周りの社員への接し方等の変化) |
追い風となる環境変化 |
○シニア層が活躍する場の拡大 |
POINT
本文中の下線部を参考に、
①~③のポイントを読み取りましょう。




私は入社以来、国際関係や法務などの本社部門でキャリアを積み、現在はこれまで培ってきた知識や経験を生かし、中堅・若手社員の育成をミッションとして研修部門に籍を置いている。

午前の仕事にひと区切りつけて一息ついていると、課長のAさんから声がかかった。
「〇〇さん、来月からの研修メニューの件でちょっといいですか?」
かつて自分が課長職だったときに新人として隣の課に配属されてきたAさんが上司となったときには、互いに戸惑いを感じなかったわけではないが、今では、自分を先輩として立ててくれるAさんを盛り立てるためにも、しっかりと彼の考えや部署の方針を理解し、今の自分の立場で職場や会社に貢献できることを遂行しなければならないと思っている。なにより、自分の知識や経験が生かされていることにやりがいを感じている。
「例の研修ですけど、法令関係パートを増やせないかなぁと思いましてね…」
Aさんからの依頼は、海外拠点を対象としたWEB研修の内容変更についてだった。私は自席に戻ると早速コンテンツの作成に取りかかった。
従来の双方向のWEB会議システムに自動同時通訳機能が付加されたことにより、研修の対象者は海外の現地スタッフにまで広がっている。研修対象者が広がるにつれ、コンテンツの分かりやすさが一層求められるようになった。ひと昔前は、紙のレジュメを使用した研修が中心だったが、こうした受講者のニーズに応えるため、私は最近の研修コンテンツに動画を多く盛りこむ工夫を加えている。これにより文字や静止画像だけでは伝えづらかった内容を、より分かりやすく伝えることができるようになった。
こうしたこともあろうかと、定年後再雇用となる前からパソコン教室に通って動画の作成方法や加工技術などを学んできたことが役立っている。私はどちらかというとアナログな人間だったのでパソコン教室に通うことにためらいがあったが、教室の近くに立ち飲み屋を見つけ、教室で勉強した後に一杯だけ立ち寄ることを楽しみに頑張ることができた。

この研修コンテンツは社内イントラに格納されており、研修に参加しなくても、誰でも自由に、いつでも・どこでも閲覧できるようになっている。そのため、リアルタイムの受講者は減少したが、社員とのコミュニケーションが減った訳ではない。むしろ、より多くの社員に閲覧されることにより、さらに多くの質問が寄せられるようになった。若手社員から質問を受けることもあり、新鮮さを感じつつ、この歳になっても人脈が広がっていることにうれしさを感じる。
また、質問のなかにはかなり鋭いものもある。法令等が日々変化するなかで、今も勉強を重ねていかなければならない。以前から法律関係の外部セミナーに、時間を見つけては参加することが習慣となっているので、この歳になっても億劫にならずに勉強ができる。
明日は在宅勤務を予定している。コンテンツの作成がひと区切りついたところで、残りの作業は明日、自宅で行うことにし、私は帰り支度を始めた。
会社のシステムにはどこからでもアクセス可能であり、自宅でも業務が十分できるようになった。在宅勤務制度を積極的に活用することで、これまでかかっていた通勤時間を同居している義理の父の介護にあて、妻の負担を減らすなど、家族を大切にすることもできている。
まだまだ若い人には負けられない。がんばらなければ。