損害保険労働組合連合会 「めざす働き方」を実現しよう



損調会社:STORY 1

所属 損害 職種 技術アジャスター
年齢 30 性別 男性
障壁となる環境変化

適正化のさらなる追求 海外業務への積極的な関与

新たな業務(調査)領域での役割発揮への期待

多様な働き方が一般化する中で求められる組織力の発揮

修理方法の変化 保険犯罪の複雑化

追い風となる環境変化

シニア層の活躍する場が拡大 客観的な事故情報が容易に取得できる

ネットワークシステムを活用した情報の共有化

POINT

本文中の下線部を参考に、
①~③のポイントを読み取りましょう。

PTメンバーが考えた10年後の環境変化
将来の環境変化を克服・活用して「めざす働き方」を実現するための行動
将来、②を実現するために(今から)しておくべき行動

「実施日程を調整したり、テーマの重要性をメンバーに話したりと、毎回骨が折れるなぁ…」

在宅勤務制度が一般化するなか、チームメンバーが週一度だけ全員出社する明日に予定している"チーム勉強会"の資料を作りながら私はつぶやいた。骨は折れるが、若手メンバーが育っていくのを実感できるこの勉強会の準備はやりがいを感じられる業務のひとつだ。

自動車走行データの活用や運転アシスト機能の革新によりこの10年で自動車事故件数は大幅に減り、それにともなって技術アジャスターの損害調査業務の件数も年々減っている。一方で、より高度な損害調査や示談代行、海外拠点における調査業務の指導、自動車事故低減以外までを含むロスプリベンションなど、業務領域は広がり続けている。

 

今年、入社20年目の節目を迎える私は、こうしたノウハウを自ら吸収しつつ、チームリーダーとしてメンバーを育成する役割を担っている。今回の "チーム勉強会"は、チームメンバーの一人であり、アドバイザー的な存在でもある再雇用社員の鈴木アジャスターがバリバリのプロフェッショナルだった頃、損傷状態から適正な事故状況を判断し解決に導いた過失交渉事案を題材に、「示談交渉」をテーマに実施することとした。鈴木さんのような再雇用社員は増加傾向にあり、今まで培ってきた経験や知識を活かした相談業務などで活躍してもらっている。

 

資料作成の仕上げに、オンラインから取り込んだ、ドライブレコーダーと防犯カメラに記録されていた事故時の画像を貼り付けようとした矢先、机上の電話が鳴った。3年目の田中アジャスターからだった。

「今、立会している事故車両の整合性で相談したいのですが…」

早速、事故状況とオンラインにアップロードされた画像を確認し、「事故現場を確認してから判断したい」という彼女の見解と同意見であることを伝える。

「ありがとうございます。さっそく現場確認調査の打ち合わせをしますね!私も〇〇さんみたいに早く画像で判断できるようになりたいです…」

いつになく神妙な田中さんに、私は思わず「専門性の向上を意識して日々の業務に取り組めば、いつかなれるよ。損保労連の『めざすアジャスター像』にも書いてあるだろう?」と先輩風を吹かせてしまった。照れ隠しに、すかさず話題を変える。

「そういえば、もうそろそろ保育園にお迎えの時間じゃないの?」

「もうそんな時間でしたね!では、明日お会いしましょう。失礼します!」

育児真っ只中の田中さんは、在宅での勤務も多く、電話での打ち合わせや相談が多いが、しっかりと育成や関係構築ができている。関連書籍を読み漁り、時には通信講座も活用しながら、コーチングスキルやコミュニケーションスキルに磨きをかけてきた成果が現れていると実感できる瞬間だ。

 

ふと時計を見ると、立会調査に出かける時間になっていた。今日は一癖ある修理工場に入庫した被盗難車両の整合性疑義案件だ。10年前と比べ、保険犯罪は複雑化し、高度な調査が求められている。時代は変わっても、保険金の適正支払いの重要性は変わらない。入社以来、数々の事案対応のなかで磨いてきた、モラル事案に対する嗅覚と不正を明らかにするスキルは今や貴重な財産だ。

手早く準備を済ませ、気合いを入れて立会調査に出かけようと席を立つと、同期の山本くんが声をかけてきた。

「おい、今度、同期で損害保険登録鑑定人資格の勉強会をするけど参加する?」

自動車事故が減少している昨今、火災鑑定人など、自動車とは異なる資格を取得する技術アジャスターも増え、実際に鑑定業務を担っている者もいる。

「アジャスターも変わったねぇ…」と思いながらも、「参加するよ」と応え、オフィスを出た。

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