損害保険労働組合連合会 「めざす働き方」を実現しよう



損調会社:STORY 3

所属 損害 職種 一般アジャスター
年齢 25 性別 女性
障壁となる環境変化

適正化のさらなる追求 商品・サービスの多様化

多様な働き方が一般化する中で求められる組織力 重度後遺障害事案の増加

追い風となる環境変化

女性の活躍する場が拡大 ネットワークシステムを活用した情報の共有化

POINT

本文中の下線部を参考に、
①~③のポイントを読み取りましょう。

PTメンバーが考えた10年後の環境変化
将来の環境変化を克服・活用して「めざす働き方」を実現するための行動
将来、②を実現するために(今から)しておくべき行動

「おはようございまーす!」

元気な声であいさつをしながら、一般アジャスターのAさんが2営業日ぶりに出勤してきた。

「おはよう!そうか、今日は出勤日か」

彼女が育児休業から復職し、在宅勤務を併用し始めた2ヵ月前から、職場メンバーとのこのやり取りは朝の風景のひとつになっている

 

「おはよう。在宅勤務にも慣れた?」

私は向かいのデスクにAさんが着席したのを見はからって声をかけた。

「はい!○○さんのアドバイスどおり、オン・オフのメリハリをつけられるようになってきました!」

そんな二人の会話にチームリーダーのBさんがコーヒーを片手に割り込んでくる。

「"ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方"が当たり前になったのも、○○さんのおかげだぞ!」

 

私が出産したのは10年前。仕事と育児の両立を支える制度は整ってきていたが、出産を機に退職する女性も少なくなかった。正直なところ、私も残ったメンバーの負担を考え、仕事を続けるか迷っていた。その迷いを断ち切ってくれたのはBさんの「こういう時に助けあうのがチームだろ。○○さんはできる範囲でベストを尽くせ。そして、助けてもらった分、誰かを助けてやれ」という言葉だった。

 


復職後、私は在宅勤務制度を活用することにした。業務分担はチームのメンバーに協力してもらい、在宅でできる仕事を極力増やしてもらった。一番の問題は、私が不在がちになることによる、メンバーとのコミュニケーションの低下だった。その解決のために、インターネット電話やSNSを活用し、目的や相手に合わせて柔軟にコミュニケーションの手段を使い分けるなど、どのようにすれば在宅勤務をしながらメンバーとの連携を強化できるか試行錯誤を繰り返した。自分のベストを尽くすために、そして、今後増えていくであろう女性アジャスターの後輩が同じような境遇に直面したときのために。その挑戦を、チームのみんなも支えてくれた

だから、いま、この環境があるのは「私のおかげ」ではなく「チーム全員のおかげ」だと思っている

「何言っているんですか。Bさんやみんなが協力してくれたからですよ」

「あはは。みんなで協力し合って生き生きと仕事するのが大事ってことだな。それはそうと、例の賠責の調査、今日だよね。よろしく頼むよ」

謙遜と捉えたのか、照れ隠しなのか、Bさんは笑いながら勝手に話をまとめて自席へと戻っていった。

 

「今日の調査って難しい案件なんですか?最近多いですよね、難しい案件」

Aさんが、興味深そうに尋ねてきた。

自動車の技術革新とか医療の高度化がすすんで死亡事故は減ったけど、反面、重度後遺障害事案は多くなってきているわね。それから、火新系の損害賠償事案についても、例えば、不正請求の手口が巧妙化して、有無責の判断が難しくなっている。私たちが調査する事案はもともと高度な知識が必要だったけど、最近はその傾向がさらに強いわね。だから、日々、ちゃんと勉強しないとダメなのよ」

医療知識はもちろんのこと、社会保障制度や判例などの知識習得が重要なのは、今も昔も変わらない。専門雑誌やセミナーで知識をつける努力は怠らないが、なにより生きた教材である事案対応を突きつめることが最も効果的な勉強であることを肝に銘じて、今日まで取り組んできた

「そうですよね。私たち調査のプロフェッショナルですもんね」

Aさんは妙に納得したようにつぶやいた。

 

私は、成長を感じさせる後輩を頼もしく思いながら、女性疾病保険チーム会議で発表する課題の整理に取りかかった。女性特有の疾病の調査は、お客さまの心情にも配慮し、主に女性アジャスターが担当している。アジャスターに占める女性の割合が増えるにつれて、こうした女性の活躍フィールドも広がっている。10年で環境も変わるものね、などと感傷に浸りながら、気づくと仕事の手が止まっていた。

「あぁ、まただ!気持ちを切り替えて!仕事仕事!」

心の中で自分を叱咤しながら、私は課題の整理に戻っていた。

ページトップへ戻る