システム・事務会社:STORY 2

所属 | 事務会社 | 職種 | - |
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年齢 | 25 | 性別 | 女性 |
障壁となる環境変化 |
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○ペーパーレス化、WEB化にともないネット完結型の商品が増加し業務が縮小する ○在宅勤務の一般化(職場の一体感の低下) ○受託料が抑制され、パート社員や派遣社員の活用がすすみ、社員の割合が減少。中堅社員にもマネジメント力が求められる |
追い風となる環境変化 |
○制度の充実と、インフラ整備により勤務場所・時間にとらわれない働き方が可能になる ○システム改善により人的ロードは減るが人と機械の分業化がすすむ ○新しい業務領域として保険会社で行っている事務部門の委託や、グループ内の自由な委託がすすむ |
POINT
本文中の下線部を参考に、
①~③のポイントを読み取りましょう。




子どもを社内の託児所に預けた後、急ぎ足で職場へ向かった。
半年前、育児休暇から復帰したが、先に導入されていた自宅研修制度を活用し、休暇取得中も会社の動きを把握できたため、一人目の出産時よりスムーズに復職できた。また、社外通信講座を利用し、以前から興味があったプレゼン術についてじっくり勉強することもできたので、育児休暇中も有意義な時間を過ごすことができた。
フロアに人はまばらだった。今日の在宅勤務は1人。また、2人はシフト勤務でまだ出社していないようだ。
デスクにつくと同時に、上司に声をかけられた。
「来月から始まるグループ会社からの新規委託業務のリーダーをやってみない?ほら、4ヵ月前、○○さんが委託元にプレゼンしてくれた例の件だよ」
ペーパーレス化、WEB化の進展にともない、代理店ウェブオンラインを通じた手続きを行うことで事務を介さない商品が増加し、計上業務が減少するなか、事務会社も提案型営業へシフトした。自分たちの強み、自分たちに求められていることについて、月例でミーティングを重ね、委託元へ積極的に提言してきたことが実を結んだのだ。

パート社員と派遣社員が9割を占めるチーム編成は今や珍しくなく、中堅層の社員にもマネジメント力が求められる。働き方が多様化するなかでチームワークの向上のために、私は以前から個人面談を実施し、積極的にコミュニケーション機会を創出することで、メンバー個々の適性をキャッチし業務分担を工夫してきた。ついにその経験を生かす時がきた。不安はない。
「はい!是非やらせてください!」と快諾した。
「後輩社員の指導と、パート社員、派遣社員合わせて30名への采配、期待してるよ!」
上司との打ち合わせを終えると、デスク上には代理店からのFAXが置かれていた。
数年前、保険会社の事務の大部分が当社へ委託され、現在ではやり取りの多くを営業課支社経由ではなく代理店と直接行っている。業務移管にあたっても、保険会社・代理店へのヒアリングや、互いの業務を知る研修を発案・実施したことで抵抗感はなかった。代理店にとっても直接事務会社とやり取りできるスピード感が好評だ。
早速FAXに目を通していると、入社5年目のAさんから声を掛けられた。
「○○さん、B代理店からの質問への回答ですが、これで大丈夫でしょうか?」
どうやら少し迷いがあるようだ。
今や事務を介さない商品がほとんどだが、一部に難易度の高いペーパーベースの計上も残っている。こうした、商品やシステムの知識を要する案件についても、以前から取り組んでいた社内イントラの活用やシステム開発への積極的な参画が功を奏し、自分で言うのも何だが理解度は高い方だ。また、システム改善にともない、機械で対応できる領域は急速に広がったが、機械ではフォローできない案件については「人ならでは」の付加価値を発揮すべくきめ細やかに対応するよう努めている。
後輩社員には、こうした知識やスキルを「月1勉強会」を開き指導してきた。その甲斐もあって、最近の成長ぶりはとても頼もしい限りだが、本件はやや骨のある質問だったようだ。

「○○さん、そろそろ時間ですよ!○ちゃん、待ってるんですから早くお迎えに行ってあげてください!」
今日もまた、Aさんに退社を促されてしまった。集中して仕事をしているとつい時間を忘れてしまう。
以前より制度は充実したが、自分に関係のない制度には興味がわかないもの。こうした問題意識から、労働組合では以前より、働く女性が制度を理解し効果的に活用できるような取り組みを行い、私の職場でも職場会を通じてチーム内に情宣してきた。このような取り組みの甲斐もありチームメンバーは協力的で、仕事に集中できる環境が整っている。
「あっ、あと明日はランチ会なので忘れないでくださいよ!今月は○○さんが幹事なのでとびっきりオシャレなお店を期待してます」
在宅勤務やシフト勤務が主流となり、お互いの顔を見て話す機会が重要になっている。自分が企画した「月に一度の情報交換の場」も機能しつつある。
「お先に失礼します!」
託児所に向かいながら、晩ご飯のメニューを考える。『ワーク』から『ライフ』へスイッチを切り替えた。