損害保険労働組合連合会 「めざす働き方」を実現しよう

独自制度の導入により、
働きやすい環境づくりを促進

週休3日勤務も当たり前に?

2015年、衣料品小売りチェーンを世界的に展開する大手アパレル企業が、週に4日働いて3日休む「週休3日」制度を国内の約1万人の正社員を対象に導入しました。

その背景には、親の介護や子育てを理由にフルタイムで働く正社員であることを諦めざるを得ない人が増えるなか、働き方の選択肢を増やすことにより優秀な人材の定着を図りたいというねらいがあるようです。また、同社では、ある時期に入社した新卒社員が3年以内に5割が退職するなど、若手人材の離職が課題となっていましたが、週休3日制の導入によって、働きやすい環境の整備をアピールし、若手人材の離職を減らす目的もあるようです。

生産人口が減少し、人材獲得競争が激しくなるなか、業界全般的に人手不足感を募らせている小売業やサービス業では、働き方の多様化に合わせて柔軟な勤務体系を取り入れるなどの動きが広がっています。

退勤してから次の出勤までの「休息時間」を確保

企業が成長・発展していくためには、働き方の多様化への対応だけでなく、そこで働く従業員の健康維持も大きな課題です。

国内のある大手通信事業会社では、2015年から「勤務間インターバル制度」と呼ばれる勤務制度を導入しました。これは、退勤した後、翌朝出勤するまでの休息時間(インターバル)を一定時間以上確保することにより、従業員の健康維持に役立てようというものです。

海外に目を向けると、欧州連合(EU)加盟国が1993年以降、11時間のインターバル確保を義務づけているのに対し、これまで日本企業の多くは、総労働時間や残業時間をもとにした勤怠管理が主体で、仕事を離れて心身を休める「休息時間」の長さについてはあまり論じられることはありませんでした。

同社では2012年に裁量労働制を適用している一部社員を対象にインターバル制を導入していましたが、労働組合からこの適用を拡大して全社に導入してほしいとの要求が届き、これを受けて制度の導入に踏み切ったものです。

インターバル制の導入にあたっては、休息時間の「長さ」が最大の課題となりましたが、同社では、拘束力の異なる2段構えのインターバル(「安全衛生管理規程」と「就業規則」でそれぞれインターバルを設定)を組み合わせることにより、現実的な制度の運用を可能にしています。

この制度の運用開始後、決められたとおりのインターバルを確保できていない社員が月あたり20〜30人ほどいることがわかり、今までは見えなかった過重労働の実態も見えてきました。従業員の健康維持の観点だけでなく、限られた勤務時間内で高い成果を上げられるようにという、社員の意識改革の面からの問題提起にもなっています。



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