損害保険労働組合連合会 「めざす働き方」を実現しよう

将来の国の行方を左右する?
——2040年問題

「地方創生」という言葉をよく聞きますが、これは古くて新しい課題といえます。首都圏への一極集中による農村の過疎化、地方産業の衰退といった弊害は、1960年代の高度経済成長期以降、国政の大きな課題としてたびたび議論され、時の政権下でさまざまな政策がとられてきましたが、現在に至るまで、根本的な解決には至っているとはいえません。

こうしたなか、大学教授や企業経営者からなる民間組織「日本創成会議」が2014年に発表した試算によると、日本の人口が1億人を切るか切らないかまで減少すると予想されている2040年には、現在約1800ある市区町村のうち、その49.8%にあたる896が消滅の危機に直面すると予測しています。

その根拠は、出産に適した年齢といえる「20〜39歳」の女性の人口動態です。この896の市区町村では、20〜39歳の女性が5割以上減ると試算しており、こうした自治体では、女性が生涯に産む子どもの数が増えたとしても人口を保つまでには至らないと考えられているのです。人口減が深刻化するこの「2040年問題」とそれにともなう地方の衰退は、いち地方に限定された問題にとどまらず、将来の国のあり方自体を左右する大きな問題といえるでしょう。

そして、「2040年」を待たずとも、生産人口の減少や超高齢化社会の進展は、将来の日本の成長を考えるうえで深刻な影をさすことになりそうです。2016年現在も、生産人口の減少という現実を意識し始めた企業による人材争奪戦が始まっており、その解決の糸口を女性活躍推進や、定年延長といったシニア層の活用、外国人材の登用に求める動きが始まっています。私たちの職場でも、国籍や性別、年齢を問わずにさまざまな人たちが働く光景が当たり前になってくるものと思われます。社内の序列や階層もこれまでのような入社年次による年功的な上下関係ではなく、年下の上司や外国人の部下といった関係も多くなっていくことでしょう。

高齢化の進展もこれまで以上に顕著になります。2025年になると、日本の総人口の5%を占める「団塊の世代」の平均年齢が75歳となり、介護リスクの高い高齢者の割合が20%近くまで高まるとされ、未経験のまさに超高齢化社会を迎えようとしているのです。

ごく近い将来にこうした世の中を迎えるにあたって、私たち自身の手で何ができるのかということを、もっと真剣に考えるべき時期を迎えているといえるでしょう。



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