損害保険労働組合連合会 「めざす働き方」を実現しよう

外国人労働者の増加 すすむ受け入れ政策

少子化がすすむにつれて、日本の労働力人口は減少している。国や企業は女性や高齢者、若者の就労を促進することで不足分を補っているが、外国人の労働力を活用することも重要な選択肢のひとつだ。日本政府はこれまで、研修・技能実習制度の導入などによって、単純労働者(専門的技能を持たない未熟練労働者)の受け入れを部分的にすすめてきた。この制度は、日本企業で技術を学ぶ3年間は企業で働きながら賃金を得られるというものだが、対象職種が限定されるうえ、受け入れには複雑な手続きが必要となり、中小企業には導入が難しい。また単純労働者だけでなく、海外から高度な知識や技術を持つ人材に来てもらうことは産業の高度化においてプラスになるが、実際には外国からの人材流入は伸び悩んでいる。

アジア諸外国も少子化時代に突入し、国際的な人材獲得競争が起きているなかで、優秀な人材を集めるためには、外国人受け入れ政策を練り直さなければならない。日本国内で外国人労働力の需要があるにもかかわらず、受け入れに関する制度が整備されていない現状を変えるため、改革に向けた議論がすすんでいる。法務省は、日本語力のある労働者が企業と雇用契約を結べる新制度の導入を促しており、総人口の3%(現在は1.2%)を上限に外国人受け入れを拡大する案も示している。

外国人の受け入れ拡大には、生活者として迎え入れる自治体側の準備が欠かせない。静岡県など6県18市町で組織する「外国人集住都市会議」は、外国人の年金加入を増やすために受給までの加入年限を現行の25年から15年程度に短くすることや、外国人登録制度の改善と「外国人データベース」の作成などを政府に求めている。

また、最近増加傾向にあるのが企業の留学生を獲得する動き。現在、企業の人事担当者による留学生向けの採用説明会が頻繁に開かれたり、大学が面接に役立つ講座を設けたりと、これまで手薄だった留学生の就労支援が活発化している。政府も就職に役立つ講座開設などを支援する方針だ。実際に留学生の採用数は増加しており、2015年の調査では、従業員数1000人以上の大手企業のうち外国人留学生の採用見込みがあると答えた企業が7割を超え、1000人未満の企業でも半数を上回った。企業規模に関わらず、日本国内に留学生採用が定着しつつあることがわかる。

新規採用だけでなく、M&A等によって外国人人材とともに働くことになるケースも多い。今後も日本企業のグローバル化がすすむにつれ、国内にいても、海外からの駐在員や役員と仕事をする可能性はますます高まっていくだろう。ダイバーシティの観点からも、国籍を問わず誰もが働きやすい職場をつくることが求められている。

「仕方なく外国人人材を受け入れる」という考えでは、人材獲得競争に取り残されてしまう。「ここで働きたい」と思われるよう、企業も受け入れ体制を整えていかなければならない。



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