損害保険労働組合連合会 「めざす働き方」を実現しよう

広がる副業・兼業──
2つの職業、2足のわらじ

副業・兼業の普及により、労働市場が流動化

日本では、社員の副業・兼業を就業規則で禁止・制限する企業が圧倒的に多いのが現状です。中小企業庁の調査(「兼業・副業に係る取組み実態調査、2014年」)によると、兼業・副業を認めていない企業は85.3%。社外に目を向けず、"本業に集中してほしい"という考えが、兼業・副業を拒む流れを生み出してきました。

この流れに反して、"副業容認"の旗を振ったのが、政府が推し進める「働き方改革」。働き方改革実現会議は、副業・兼業に対する指針(『働き方改革実行計画(3月28日)』)を示し、「副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、第2の人生の準備として有効」との考えを打ち出しました。同計画では、合理的な理由がない場合には、副業・兼業を制限できないことが規定されています。

キャリアの構築方法が問われる時代へ

政府が副業・兼業を推進する一方、乗り越えなければならない課題は山積しています。第一にあげられるのが長時間労働の問題です。「働き方改革」では、長時間労働の是正が主要な目的として掲げられています。副業・兼業が普及することで、労働時間が増えてしまっては本末転倒。労働者の健康確保に留意しない副業・兼業では意味がありません。

複数の会社に籍を置くことによる問題も発生します。労働時間の管理、残業手当の管理、労災事故発生時の責任の所在、社会保険の問題など、クリアすべき制度上の課題が残されています。

 

課題が多いとはいえ、副業や兼業を推し進め、多様な働き方を認めていく流れは、止められないでしょう。その時、個々人が直面するのは、「何のための副業・兼業なのか?」「自分にとってどんな意味があるのか?」という根本的な問いかけです。「収入の補てん」「スキルの獲得」「起業の準備」「社会貢献・地域貢献」など、その答えは、働くことに対する価値観によって異なるでしょう。

副業・兼業が一般的な社会に変わることで、複数の能力・スキルを社員が保有しやすくなり、キャリアの複線化へ。これにより、労働市場の流動化につながることが予測されます。本業に依存しない生き方は、労働者一人ひとりを幸せにするのか、しないのか。副業・兼業が新たな労働の価値を生み出し、自身の働き方やキャリアの築き方が問われる時代を迎えています。



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